酒とバラの日々 10

明けましておめでとうございます。
入院生活75日目。
入院は、1クール、三ヶ月、90日間と決まってるので後15日や。
長かったけど、あと二週間ちょいで退院。
この最底辺の病院で年越すのは、さすがに嫌だったので、大晦日の朝から三泊四日で家帰ってました。
晦日は、紅白一瞬だけ観て、後はボクシング観てたわ。
やる方は、年末の忙しい時に減量して練習して大変やろうけど、観る方としてはつまらん正月特番観るよりは、全然面白いな。
かつてのライバル、高山君は負けてしまったけど、後はみんなKOで勝った。
内山さんは、歳も歳やのに強いなあ。
具志堅さんの連続防衛記録は、確実に抜くやろうな。
俺は、何階級も制覇するよりも一つの階級でずっと防衛する方がかっこいいと思う。
歳を取る毎に、減量はどんどんキツくなっていくのに、その階級に留まってずっと防衛する方が難しいと思うねんなあ。
でも世界的に見ると連続防衛より複数階級制覇の方が評価されるし、お金も稼げるという傾向にあるみたい。
今は六階級制覇が、最高記録のはずやけど、こんだけ階級が細分化された現代では、いずれそれも塗り替えられるやろうな。
でもジョー・ルイスの持つ連続25度防衛は、もう五十年以上誰も破ってないからね。
しかも今みたいに階級も団体もいっぱいある時代じゃなくて、一つの団体で十二階級しかなかった時代の記録やからほんま凄いわ。
で、正月はどうせ飲んだんやろ?ボクシング観ながら飲んだんやろ?とみんな思ってるやろうけど、期待を裏切って飲んでないねんな。
十数年振りに正月を素面で過ごしたわ。
毎朝、坑酒剤ずっと飲んでたしね。
坑酒剤ってのは、肥料工場で働いてる人達がなぜか酒に弱くなるという事から発見された薬で、これを飲むとお酒が飲めない体質になる。
坑酒剤飲んで酒を飲むという無謀な挑戦をした人が病院に何人もいたので、どうなるのか聞いてみたんやけど、とりあえず心臓が二個付いてるんじゃないかと思うほどドクンドクンと動悸がして、手が震えだし、脂汗がタラタラ流れ、立ってられなくなるらしい。
心臓弱い人やったらそのまま死ぬ事もあるみたい。
そんな話聞かされて、それでも飲む勇気はさすがにないわ。
まあ、ほんまに飲みたいんやったら坑酒剤飲まんかったらいいだけの話やねんけどな。
坑酒剤もずっと飲んでたら、酒程じゃないけど、肝臓を悪くするらしいので、やばそうな時にしか飲まない事にしてる。
こんなもん飲まんと酒やめれたら一番いいんやけどなあ。
一日の朝は、おかんと近所の神社に初詣行った。
お酒やめれますようにと神に祈り、おみくじ引いたら吉だった。
微妙。
まあ、大吉引いた年もロクな事なかったから、あんまアテにはならんなあ。
その後、兄貴一家と一緒にお節とお雑煮食ったわ。
そんで小学一年の姪っ子にお年玉二千円あげた。
俺が酒で死んでも、アル中のたこ叔父さんは、貧乏やのにお年玉くれたって事をずっと覚えてて欲しい。
俺が見てる限り、二日に来た俺のいとことかおかんの姉妹は、誰もあげてなかったからね。
俺よりずっと金持ってる癖に!
酒も飲めないので、早々と宴の席を後にして、ずっと大佐に貸りたラノベ読んでた。
どうもラノベは俺の求める読書の面白さとは違う気がするな。
ちなみに去年読んだ本の中でベスト1は、入院中に読んだ西加奈子サラバ!やね。
「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ」
ほんまその通りやと思うわ。
何かを信じてる人も、信じてない人も、モテる人もモテない人も、みんな読むべきだね。
西加奈子の最高傑作。
図書館で何ヵ月も予約待ちした甲斐があったわ。
また読み返すと思うので買っておかなあかんなあ。
綿矢りさとは格が違うね。
あれが他の作家に比べて優れてるのは顔だけや(こうやって誰かを褒めても、他の誰かを貶すというところがこのブログが支持されない理由なんやろな。でも直す気はないで)。
そんで三日は、おとん、おかんと株主優待券でシルベスタ・スタローンの「クリード チャンプを継ぐ男」観た。
スタローンももうロッキー以外で金稼ぐ術がないんやろな。
でもロッキーシリーズは全部観てるのでこれも観た。
内容は、まあ、普通。
でもクリード役の名前知らん黒人、パンチの打ち方上手かった。
さすが黒人やな。
スタローンのパンチは、正味下手くそやった。
高倉健も、昔なんかのCMでシャドーボクシングやってんの見たけどめっちゃ下手くそ。
ボクシングセンスの欠片もなかったね。
やくざ役の印象強いからケンカも強そうなイメージあるけど、多分健さんめっちゃ弱いで。
まあ、俳優としては好きやけど。
渋いもんな。
で、映画、観終わって、とんかつ食ってから病院帰ってきた。
相変わらずここは、正月の華やかさとは無縁の、どんよりとした空間やね。
退院までにあと何回更新できるかな。