酒とバラの日々

破綻は思ったより早くやってきた。
先月の二十日に、親に半ば強引に連れて来られて、二回目のアル中病院入院。
一回目の時に二度と入院はしないと誓ったのに…。
でも入院前の状態を後で親に聞かされると、入院させられたんも無理なかったなと思う。
酔っ払って自転車でこけて八重歯は折るし、道で寝てて警察呼ばれて親に引き取りに来てもらったんが三回。
血を洗面器二杯分位吐いたし、血便も出た。
やばいところまで行ってたんだと思う。
一回目の入院時は、酒やめる気サラサラなかったが、もし次に入院する事になったら、さすがにやめなあかんなと思ってたので、今回は一応やめる気でいます。
まあ前回は、とっくに失ったと思ってたパンクスピリッツが、断酒断酒しか言わない医者や看護師に対して復活して、誰が酒やめるかと最初から最後まで、俺は、死んでもいいから飲むと言い続けたし、入院中も隙あらば近所のコンビニ行って隠れて飲んでた。
最後ばれたけど。
だから今回の入院の二回目の診察の時に、医者のノート盗み見たら、前回の入院の評価、ABCの三段階で最低のCだった。
今回は、Aを取れるように頑張りたいと思う。
昔は、年取る前に死にたいぜと歌ってたピート・タウンゼントだって醜態晒しながらしぶとく生き残ってるし、逆に長生きするのがロックになりつつあるのかもしれない。
俺は、相変わらず早死にしたいと思ってるけど、自分が酒飲んで身体壊して勝手に死ぬ分にはいいけど、酔っ払って記憶なくす頻度が半端なくなってきたし、それで意識ないまま問題起こして、親に尻拭いさせて、迷惑かけまくるようになったからなあ。
少なくとも親が生きてるうちは、酒やめなあかんと思った。
前回入院してた時に知り合った人達とも何人か再会した。
前回飲むって宣言してたのは俺くらいで、他のみんなは、真面目に断酒頑張りますって言うてたのに再入院してるって事は、それだけ酒の依存はきついって事やし、断酒続けるのはそれだけ難しいって事なんやろうな。
作家のレイモンド・カーヴァーは、アル中病院に四回入退院を繰り返したズブズブのアル中やったけど、四回目の入院で酒を断って、それからは50で死ぬまで十年以上、一滴も飲まんかったらしい。
そしてそれをとても誇りに思ってたと奥さんが言うてた。
昔の俺ならそれを聞いて、酒やめても50で死ぬなら、死ぬまで飲んだらよかったのにと思っただろう。
しかし、下手したら麻薬よりきついと言われる酒の依存に打ち克って、レイは誇りを持って死んでいったんだ。
今なら、それは、酒飲んで野垂れ死ぬより、かっこいい死に方なのかもしれないなと思う。
俺は、誇りを持って死ねるだろうか。